先日の米アカデミー賞で見事に最優秀作品賞を受賞した『グリーンブック』。
3/1(金)に日本でも公開となりましたので、ファースト・デイに早速見てきました。
さっそく感想をお届けします!
『グリーンブック』あらすじ
(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
時は1962年。ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は腕っぷしはもちろんハッタリも得意で、ガサツで無学だが、家族や周囲から愛されていた。
ある日、トニーは「神の域の技巧」を持ち、ケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏したこともある天才ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)のコンサートツアーの運転手として雇われる。
まだまだ人種差別が根強く残る時代になぜか、黒人にとって制約と危険の多い南部を目指すシャーリー。
粗野で無教養なイタリア系用心棒と、インテリな天才黒人ピアニストという何もかも正反対な二人が、黒人用旅行ガイド〈グリーンブック〉を頼りに、ふたりはツアーへ旅立った──。
『グリーンブック』キャスト&スタッフ
キャスト
トニー・”リップ”・バレロンガ - ヴィゴ・モーテンセン
ドクター・ドナルド・シャーリー - マハーシャラ・アリ
ドロレス・バレロンガ - リンダ・カーデリーニ
スタッフ
監督:ピーター・ファレリー
『グリーンブック』感想
一言でいうと:「最高よりも最高のロードムービーでバディムービー!」
すごく楽しめたんですよね。涙あり笑いありで。
見た後は主演の二人がとっても好きになっているし、楽しめて学びも得られる。
誰にでもおすすめできる作品です!
最大の魅力は主役の二人の掛け合い
主人公の二人がとても良いですね。
ほとんど共通点の無い凸凹な二人なんですけど。
トニー・リップはイタリア系の白人。普段から黒人に対する差別的な感情があった。
バーで用心棒の仕事をしていたが、そのバーが潰れてしまい職探しを始める。
恰幅の良い男で、大食いにも負けたことが無い肉体派。
妻と子供が二人、そして父親や親せきと仲良く暮らしている。
少々下品で知性的な人間ではない笑 そしてお喋り。
ドクター・ドナルド・シャーリーはカーネギー・ホールの上に住む黒人天才ピアニスト。
政府の要人ともつながりを持ち、金持ちで超インテリ。
家には使用人を抱えているが現在は独身で独り住まい。
自身はピアニストだが、トリオを組んで黒人差別が色濃いアメリカ南部ツアーに出るところ。
最初はトニーも仕事で渋々ドクのツアーに付き合うことになります。黒人の身の回りの世話はしない!という固い決意のもと、用心棒兼ドライバーとして旅に同行します。
海外ドラマ『Glee』のフィギンズ校長だ!というところでテンションが上がる笑
コミカルな演技は今作でもキュート!
最初はほとんど会話が成り立ってないようなふたり、嫌味もジョークも全然通じてない。
言葉遣いを直すようにトニーに注意するドクですが、トニーは全く無関心。
トニー「なんかおかしいか(俺の言葉)?」
ドク「ああ、世界に類をみない」
徐々にドクがトニーに対して遠慮が無くなっていく様子が微笑ましかったです。
コイツは直接的に言わないと伝わらないということを学んだんでしょうね。
移動中の車内は2人だけなのでトニーが喋るしゃべる。こういう所はイタリアの血なのかなとか思いました。
ドクにどんなに嫌な顔をされても全く動じず、すんごい押しが強い笑
二人のやりとりがほんとに楽しくて、トニーに対するドクの戸惑った顔とか最高でした。マハーシャラ・アリの演技力の高さを感じます。
トニーもとても愛情深い人で家族想いで、二人のことが自然と好きになってくる。
久しぶりに映画館で清々しく笑ったな、という感じでした。
個人的に映画館で声を出して笑ったりするの、周りの人とタイミングが違ったりするのが気になっちゃうんですよね。
ただ今作はもう、後半になるにつれ誰もが声を出して笑っちゃう感じで、何にも気にならなかったです。
音楽は素晴らしい!!と改めて思う
印象的だったのは、いつも気難しい顔ばかりしているドクが、ピアノを弾いた時だけ笑顔をみせていたこと。
コンサート会場で拍手を貰って、真っ白な歯が溢れる。その瞬間だけは純粋に音楽を楽しんでいたんじゃないかな。
トニーも初めて会場の外からドクのピアノを聴いてすっかり気に入った様子。なんだか得意げな表情をするトニーが素敵でした。
トニーの奥様、ドロレスが聡明で美しすぎる
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トニーの奥様、ドロレスはとても美人で明るくて素敵!トニーや子供達をとても愛している愛情深い女性です。
そしてトニーとは違って黒人に対する差別感情も元々無い様子。夫が差別感情を持っていることを知ってはいるけどどうにも出来ないという感じ。
夫を長い間留守にさせることを、わざわざ電話して許可を求めてきた紳士的なドクには、最初から好感を持っていたこと間違い無しです。
しかし聡明な彼女がトニーにベタ惚れなので、トニーもいい男なんだろうなと思わせますね。
少々下品なんだけどね笑
でも本質的にはとても温かい心の持ち主。
以下、ネタバレ注意
ドクター・ドナルド・シャーリーの孤独と葛藤
ドクはお金持ちでピアノの才能もあって人に必要とされる、また音楽で人に感動を与えることも出来るのにずっと深い孤独に苛まれていました。
妻とは離婚、兄が一人いるが疎遠になっているとのこと。
ドクが抱える2つの孤独。
それは、その音楽の才能と知性ゆえに、周りに理解されない孤独。
そして黒人であるのに自分が異質な黒人だから輪に入れず、かと言って白人社会にも本心では受け入れられていない事を肌で感じてきた孤独。
この時代黒人は差別にあい、肉体労働や白人家庭の使用人などをしている人が多かったのです。そんななかドクはVIP待遇を受けますが、本心では受け入れていない白人も多い。
「自分はどちらにも入れないはぐれ黒人だ」と涙ながらに告白するドクにトニーはショックを受けていました。
いつもどこか寂しげな表情をしていたドクの孤独を初めて知ってトニーは驚いたと同時に自分を省みたのでは無いでしょうか。
そして、寂しかったら自分から動かなきゃとドクにアドバイスします。
これはわたしにも刺さりました。
寂しいから、孤独だからって誰かが察して寄り添ってくれる訳じゃない。
自分からそれを回避するように動いていかなきゃ何も変わらないんですよね。
ドクが変わったのは、ラストの行動でしっかり示しているのでこの作品が素敵なエンディングになっているんだと思います。
差別を超えていくためには…
人種差別の問題はこの国に住んでいるとそこまで理解することは難しいと思っていました。その土地ごとに様々な歴史や積み重ねがあると思うからです。
この作品タイトルの「グリーンブック」と呼ばれる本は、この時代の黒人たちが南部地域を旅するときに、比較的安全に泊まれる黒人専用宿泊所やレストランを示した本です。
それ以外の店では理由もなく暴行されたりも多々あったようです。
ですが、現在のアメリカでもこの本の存在を知る白人は少数らしく、実際に人種差別があった国でさえ知らない人たちも多くいるというのが現実のようです。
主役のふたりが白人と黒人ではなく、トニーとドクというふたりの個人対個人で向き合っていくなかで、互いに親しみあい助け合って絆を作ってきたこと。
たまにケンカやジョークや音楽やチキンを食べながら一緒に時間を過ごすことで白人、黒人でまとめていたら分からなかったことが見えてきて、一人の人間として友情が芽生えていくこと。
この人間と人間の素朴で当たり前の関わり合いこそが、差別を超えていくんじゃないかと感じました。
前述の通り、現地でも知らない人は知らない話。
映画になってアカデミー賞を受賞した意味は大きいんじゃないかと感じてます。
ぜひ、笑って泣けるふたりの物語を見てみてください。
最後に評価
音楽が好きなので映画館でみたのもとても良かったかもしれない。
音楽は言葉も人種も超えていく!!
人種差別の問題は根底にありつつも、笑って泣けて楽しい映画です。
あと人種差別について考えていたら以前見たハイネケンの動画を思い出したので、まだ見ていない人はぜひ。
これはこれで感動的です。
言いたいことはとてもこの作品と似ているなと思いました。
https://www.google.co.jp/amp/s/tabi-labo.com/amp/281487
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※本ページの情報は2020年2月時点のものです。最新の配信状況は各サービスサイトにてご確認ください。
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